全日本大学女子駅伝2021 2区 髙松智美ムセンビ選手の全日本ラストラン! 

全日本大学女子駅伝

皆さん、こんにちは。

今回は全日本大学女子駅伝2021の2区について書いていきたいと思います。

前回の記事で、1区について書きましたが、その続きとなります。
まだ1区の記事を読んでいない方は、ぜひそちらの方も読んでみてください。

さて、レースについて見ていきましょう。

1区で名城大学の山本有真選手が区間賞を獲得し、先頭で名城大学の2区髙松智美ムセンビ選手がスタートしました。髙松選手は2年前の2019年大会でも同じ2区を走っています。その時は1区の小林選手から9位で襷をもらい、8人を抜き首位に立ち、区間賞を獲得しています。今回は先頭で襷をもらったので、経験のあるこの区間で、のびのびと走ることが出来たのではないでしょうか。

スタートしてすぐ、髙松選手は後続を引き離しにかかります。最初の1㎞は上りなのですが、3分3秒ほどで通過しました。このとき、テレビ画面越しからでも、後続を離していることがはっきりと分かりました。腕を大きく振る力強いダイナミックな走りで、名城大学の襷を運んでいきます。

2区1.9㎞地点折り返し地点では、第1中継所では7秒だった1位と2位の差は、23秒まで広がります。
髙松選手が折り返し地点を通過後、2位で日本体育大学の尾方選手と城西大学の森尻選手が通過。第1中継所で2位につけていた松山大学は先頭と28秒差の4位で通過します。
9位で襷をもらった立命館の御崎選手は6位まで順位を上げます。スタートしてたった1.9km地点で3人抜いた御崎選手でさえ、先頭との差は22秒から36秒まで広げられているので、いかに髙松選手が速かったかが分かりますね。

2.7kmでは東北福祉大学の小松選手が5位に浮上。その後ろで、立命館大学の御崎選手、大東文化大学の四元選手、大阪学院大学の依田選手の3人が競り合います。

3㎞を過ぎても、名城大学の勢いは止まりません。後続をさらに突き放します。2位は依然として尾方選手と森尻選手が競り合っていましたが、尾方選手が下り坂を利用して森尻選手を離しにかかります。

髙松選手が3.7㎞地点にある2区最後のカーブを曲がり、いよいよ中継所へ。12分01秒の区間新記録を叩きだし、全日本駅伝での有終の美を飾りました。自らが2年前に出した12分20秒という記録を19秒更新し、本人としても納得のいく形で全日本を終えることが出来たのではないでしょうか。
2位に尾方選手、3位に森尻選手が通過。尾方選手は1位と7秒差でスタートし、最後は23秒まで差を広げられました。1.9㎞地点では髙松選手と尾方選手の差は22秒であったので、最初に髙松選手が大きく差を広げて、中盤以降は髙松選手と尾方選手のタイムはほぼ同じであることが分かります。
尾方選手も離されてからよく粘って走りましたね。その後も4位で松山大学、5位に順位を3つ上げた東北福祉大学、6位に大阪学院大学、7位に立命館大学と続きます。

第1中継所ではトップと1分以内の差で20チームが通過していきましたが、第2中継所ではそれが8チームまで減ってしまうことになりました。
このことからも、髙松選手の速さが伝わりますね。

5区に不破選手を擁する拓殖大学はトップと1分23秒差の10位で3区に襷を渡します。山下選手が3つ順位を上げました。

以下に2区の個人順位と通過順位を整理しておきます。

個人順位 (5位まで、敬称略)
1位 髙松智美ムセンビ (名城大学) 12分01秒 区間新記録
2位 尾方唯莉 (日本体育大学)   12分17秒 区間新記録
3位 森尻真優 (城西大学)     12分23秒
4位 御崎舞 (立命館大学)     12分30秒
5位 四元桃奈 (大東文化大学)   12分32秒

通過順位(8位まで)    (第1中継所での通過順位,順位を上げたか下げたか)
1位 名城大学 33分49秒   (1→)
2位 日本体育大学 34分12秒 (3
3区 城西大学 34分18秒   (4
4位 松山大学 34分36秒   (2
5位 東北福祉大学 34分37秒 (8
6位 大阪学院大学 34分38秒 (5
7位 立命館大学 34分40秒  (9
8位 大東文化大学 34分48秒 (11

(第39回全日本大学女子駅伝対校選手権大会 女子駅伝総合成績 参照)

2区を通して1番感じたことは、やはり名城大学、髙松選手の最後の全日本に懸ける思い、そして、「自分の区間で、勝負を決めるんだ!」という覚悟ですね。
それが走りや表情を見ても感じ取れました。

また、髙松選手自身が、自分のその時点での力と、レース展開をよく分かっていましたね。最初の1㎞を ”しっかり” 突っ込むことで背後に付かせず、レースの主導権を完全に握りました。
「絶対に追いつかせない、有真が作ってくれた流れを渡さないぞ」
という気持ちが伝わってきました。

駅伝で最初の1㎞を突っ込むことの賛否は、時と場合によると思います。今回の場合では、3.9㎞と短い距離であったのと、後続と7秒差という僅差であり、後ろに付かれたら風よけとして利用されてしまったり、レースの主導権を握られてしまったりするので、今回の髙松選手の判断は良かったと思います。これも1年生から名城大学のレギュラーとして駅伝に出続けて、速さだけではなく、レース勘も磨いてきた髙松選手だからこそできたのかもしれませんね。

男子になりますが、2020年箱根駅伝3区の青山学院大学 鈴木塁人選手、2024年箱根駅伝4区の青山学院大学 佐藤一世選手も今回の髙松選手と同じような走りをしましたね。この2人も、2位と僅差のトップで襷をもらい、最初の1㎞を突っ込んで入り、レースの主導権を握り、青山学院大学を優勝へと導きました。彼らも駅伝の展開を良く分かっていましたね。

このような駆け引きも、駅伝の醍醐味であると思います。

さて、髙松選手が2区を爆走し、3区の和田有菜選手へと襷を渡します。

2区の話についてはこれくらいにして、次回は3区について書いていきたいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。それではまた次回お会いしましょう。